
比叡山の延暦寺、天台宗独自の荒行「千日回峰行」2回満行された酒井雄哉老師の著書です。千日回峰行は、天台密教の中で荒行中の荒行です。生死をかけて行われます。行の中身は、まず12年間籠山した後、約7年間かけて1000日の間、行われます。最初の3年間は、1年のうち100日、1日30kmを歩き255ヶ所の霊場を巡拝し、後の2年間は1年に200日、同じ行を行い、5年間で700日地球一周と同じ距離(4万キロ)を歩きます。この行を終えると次に「堂入り」という生死に係わる行を行います。堂入りとは、9日間「断食、断水、不眠、不臥」で明王堂にこもり、十万遍の不動真言を唱え、不動明王と一体になる行を満じるのです。私は酒井老師が千日回峰行のドキュメントを20代の時NHKのTVで見ました。そしてその時思ったのは、この行は生死をかけて、人間の精神力の限界を超えた修行だと感激しました。酒井老師は2度千日回峰行を満行されました。天正年間(16世紀末)以来、僅か3人のみが2度満行し、そのお一人が酒井師なのです。故に”生き仏”と呼ばれておられるのです。酒井老師の書かれたこの本は、スピード化の現代社会で、とかく忘れがちな自分自身の生き方を考える時間を与えてくれるヒントがいっぱい書かれている一読する価値のある本だと思います。現代を生きる私達は仕事に翻弄され、自分を見つめる事を忘れていませんか。生きているのか。生かされているのか。考える時間も必要だと思います。
Posted by フェラリーの翼 at 21:58│
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